あらすじ
土屋太鳳演じる、女子大生の鳥山ゆきなが主人公です。彼女は不本意ながら工業大学入学しましたが、そこの大学は男子ばかりで、しかも全員眼鏡をかけているオタク青年ばかりでした。大学の教室には一人だけ女性がいてその子の名は和美です。和美は人力飛行機クラブに入ることを目的としてこの大学を選んだのです。和美はゆきなと一緒にそのクラブの見学に行き、ゆきなはクラブの部長の圭から気に入られ、圭はゆきなのタイプであったこともあり入部します。
そこで待っていたのは、自転車漕ぎのトレーニングでした。ゆきなは自らも自転車を購入してトレーニングに励み、体力部門でトップの成績を収めパイロットとして指名されます。ある日、ゆきなは圭に大志を紹介します。大志もパイロットだったのです。しかし、居酒屋で飲んだくれている大志に対して、ゆきなは好感触が持てず、思わず言い合いになってしまうのです。
コンテスト当日には、大志とゆきなのペアのパイロット構成が取られ、見事に緒距離飛行を成功させ、優勝するのです。
雄飛工業大学へ入学した、ゆきなは大学へ行くためのスクールバスに乗っていましたが、そこに同乗しているのは眼鏡をかけたオタク男子ばかり。嫌気がさして、バスを降りるとそのバスを追い越していくロードバイクを目撃し、どことなく憧れを抱きます。彼は、後にゆきなと飛行機を同乗するパイロットの大志でした。
男子ばかりの大学でしたが、一人だけ和美という同級生がいました。彼女は、人力飛行機クラブに入部するためこの学校を選んだと語ります。後日、ゆきなと和美はそのクラブの見学に行きます。その時に、部長の圭は、ゆきなに体力がありそうなことを感じ入部を促します。ゆきなにとっても、圭はタイプの男性だったので入部するのです。入部後は、ロードバイクによる激しいトレーニングが待っていました。その後、圭はゆきなを居酒屋に連れて行き、パイロットである大志を紹介しました。しかし、ゆきなと大志は相性が悪く喧嘩ばかりしていました。ある日、圭と大志が操縦する飛行機のテスト飛行が行われ、大志のミスで墜落し圭は怪我をしてしまいます。
それを受けて、大志はゆきなと一緒にフライトすることを決意します。その日から、大志とゆきなのロードバイクによる過酷なトレーニングが始まります。
いよいよ、鳥人間コンテストが開催されました。大志にはかつてテイクオフに失敗し、着水してしまったトラウマがありましたが、その大会では二人の脚力により、順調に飛行できました。飛行しながらも、大志とゆきなは口喧嘩が止まりませんでした。しかし、二人は口喧嘩をするほどパワーが出るのです。途中、大志がゆきなに「好きだ」と告白する珍事もありましたが、ゆきなは「ごめんなさい」と断ります。その後も二人の口喧嘩はヒートアップし、順調に飛行しますが、飛行禁止区域に近づき始めました。「着水させるぞ」と語る、大志に対してゆきなは「いやだ」と言いますが、大志のコントロールで着水させます。二人はボートに乗ってスタート地点に戻ってきますが、そこでは、長距離飛行実現を喜んだ部員たちが暖かく迎えてくれました。
この映画は実際に鳥人間コンテストに常連で出場している芝浦工業大学の人力飛行機チームがモデルとなっていて、実話を絡めたフィクションであるのが見どころです。特に魅力となっているのが、土屋太鳳さん演じるゆきなが、大学に入学して眼鏡男子ばかりで失望している気持ちから、人力飛行機クラブに出会うことで、たくさんの男性友人ができ、ロードバイクを自ら購入したり、パイロットになるために頑張ったりなど、ゆきなの成長過程が一つの見どころです。ゆきなと、チャラチャラしたパイロットの大志との関係性も面白く、二人が口喧嘩する様子はとてもコミカルに描かれていて、見ていて気持ちが良いです。鳥人間コンテストの様子も、テレビ局全面協力のもとつくられ、セットの精巧さに感心させられます。特に飛行機の完成度が高く、実話のような雰囲気が味わえます。また、それを中継するアナウンサーとして、羽鳥が起用されているところも、大家のリアルさを実現してくれています。
坂場大志は鳥山ゆきなのことを好きだったのか?
このことに関しては、鳥人間コンテスト中の最も盛り上がるところで表現されています。大志とゆきなの会話は、部員全員と中継中のテレビのアナウンサーにも聞こえていました。それを、二人は知っているのですが、みんなが聞いているにもかかわらず、大志やゆきなに対して「好きだ」と告白するのです。これを受けて、テレビアナウンサーも「おおっと、公開告白だ!」と盛り上がります。しかし、ゆきなの答えは「ごめんなさい」。あっけなく振られてしまいました。一方、ゆきなは部長の圭に思いを寄せていましたが、それを知っている大志は、圭には彼女がいることを告げ、二人の口喧嘩がエスカレートします。
なぜ最後に飛行機を着水させたのか
鳥人間コンテストでは、ある一定以上の距離にて、飛行禁止区域が設けられています。そこに侵入すると、執行猶予付きではありますが、出場停止処分という重い処罰が与えられるからです。” いわゆるスポコン映画ですので、何かスポーツなどに打ち込んだことがある人が見ると共感できる部分が多いのではないでしょうか。もちろん、鳥人間コンテストを毎年欠かさず見ているような、鳥人間コンテストファンにもおすすめしたい映画です。この映画を見ると、人力飛行機クラブの内部事情や、どんなトレーニングをしているのかがわかります。どこかの大学へ進学して、人力飛行機クラブに入部したいと考えている人にも参考になる映画です。全体的に爽やかなシーンが多く、痛快さや爽快感を求めて映画を見ている人にもおすすめの映画と言えます。