とあるサーカスの一団があり、そこではブランコ乗りや怪力男といった健常者達の劇員の他に、フリークスと呼ばれる人々が働いていました。それぞれ助け合って巡業をしていましたが、ある日小人のハンスが莫大な遺産を相続している事を知った曲芸師のクレオパトラと怪力男のヘラクレスはお金に目が眩んでしまい彼を殺害して遺産を手に入れようと模索します。誰もが見惚れる美貌を持っていたクレオパトラは、既に同じく小人のフリーダと婚約関係にあったハンスを誘惑するようになります。最初は揺らがなかったハンスですが、徐々に想いは美しいクレオパトラに傾いていってしまいフリーダと別れて彼女と結婚する事になります。ハンスが幸せになれるならと身を引くフリーダと、仲間の幸せは自分達の幸せと考え喜び祝うフリークス達でしたが…
概要
物語はとある見世物小屋のシーンから始まり、案内人が見世物にされている人々を見る前のルールを説明します。「一人への侮蔑は彼等全員への侮蔑である」と一言添えた後で回想が始まります。とあるサーカスの一団があり、そこではブランコ乗りや怪力男といった健常者達の劇員の他に、フリークスと呼ばれる人々が働いていました。小人のハンスが莫大な遺産を相続している事を知った健常者のクレオパトラとヘラクレスは、その遺産を手に入れて独立しようと模索します。そして、ハンスと結婚してから彼を毒殺しようと計画した二人は早速クレオパトラとハンスが結婚するように行動に移します。その結果、ハンスは騙されてしまい婚約者であった同じく小人のフリーダと別れてクレオパトラと結婚する事になりますが、結婚式の宴でとある事件が起こります。フリークス達は自分達の仲間であるハンスと結婚するクレオパトラをフリークス流に歓迎しようと、一つの盃にお酒を入れてそれを歌いながら回し飲みを始めます。最後に仲間入りの証としてクレオパトラにそれを差し出しますが、計画がうまくいき油断していたクレオパトラは泥酔して取り繕う事ができなくなってしまった為これを拒否し、彼等の仲間入りは真っ平御免だと侮蔑的な態度を取ってしまいます。フリークス達は戸惑いその場はそれでお開きになるものの、その事がきっかけでクレオパトラを疑いヘラクレスとの計画を知り、彼等の復讐劇が始まります。”
特徴
フリークスと呼ばれる人達の役を、実際に当時見世物小屋で働いていた芸者さん達といった身体的・精神的に欠損や障害のある方達がされています。もちろん彼等は俳優として誇りを持って役柄に取り組んでおり、健常者の俳優さん達と変わらぬ待遇を受けておりましたが人権団体などの抗議の影響や、社会の考え方の変化により見世物小屋なども無くなった現代ではこのような映画を撮る事は難しいと思います。また、劇中ではそのような特徴を持っている彼等だからこそ行えるようなくすっと笑ってしまうようなシーンも練りこまれています。たとえば、劇中には身体の一部がくっついてしまっているシャム双生児の女性が出てくるのですがそれぞれ違う男性と結婚する事になります。彼女達は勿論離れるわけにはいかないのですが、互いの夫になる人物同士が顔を合わせて初めて挨拶する際にどうぞ結婚後の新居には奥様と遊びに来てくださいねと招待をし合うなど、普通の映画ならば何気なく聞き流してしまうシーンもどこかお洒落で奇妙なものに映ります。勿論どの映像にもCGなどは使われていないので、より一層のめり込んで見てしまう映画です。 ”
本当のフリークスとは何か
映画内では、様々な人物が登場しますがクレオパトラとヘラクレス以外のメインキャラクターは基本的にフリークスを差別する事はなく、同じ仲間として扱い作中でも尊敬をもって接するべき人々として描かれています。フリークス同士は助け合い、無邪気で自分達の状況を嘆く事も他者を妬む事もありません。最初こそその姿に目を開いてしまう人物もいますが、彼等を知るにつれていとしさや親近感がわきます。しかし健常者であるはずのクレオパトラとヘラクレスはお金に目が眩んでしまい、その目的の為なら愛を偽る事・既に恋人がいる相手からその人物を略奪する・仲間であったはずのハンスに薬と偽り毒を飲ませようとするなどまさに非道な行動を繰り返します。着々と準備を進め、人の目の届かない所でほくそ笑むクレオパトラはまさにフリークス(化け物)のようでした。この作品の中で、如何なる身体的特徴よりも人間は結局はその心次第で、いくら美貌が素晴らしいものだったとしても醜い化け物になってしまうというというメッセージが込められているのではと思います。
こんな人におすすめ
サーカスや見世物小屋といった、非日常的な物語に興味がある方にオススメかと思います。劇中では普段の生活ではなかなか見かけないような人々や光景を見る事ができます。また、1930年代という古い映画の為その当時の服装やはやりの髪型などを見られる貴重な映画だと思います。現代は様々なものが規制されている時代で、この映画もその出演者の特殊さから各国で長年上映が禁止されていました。しかし、誰も強要されて出たわけでも、特徴ある彼等を蔑んだりする内容では一切無いため、様々な人に見ていただきたいと思います。最後はちょっとだけ怖いシーンもあるので、ホラーが全くダメという人以外にはオススメしたいです。