今更聞けない『JOKER』を解説

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今作はバットマンシリーズに登場する敵キャラ「ジョーカー」の誕生秘話を描いた作品です。

舞台は70~80年代のゴッサムシティ。主人公アーサー・フレックはコメディアンとして成功することを夢見ていました。しかし大道芸人として日々活動するも、日の目を見ることもなく、生活は困窮していました。

ある日、彼が電車に乗っていると暴漢達(エリートサラリーマン)に襲われます。アーサーは耐えかね、持っていた銃で反撃して相手を殺してしまいます。

この事件は大きくメディアで報道されましたが、意外なことに市民の多くはこの事件の加害者(アーサー)を支持していました。貧富の差が拡大している世の中で、自分達(貧困層)の不満の捌け口となったからです。

アーサーは次第に自分の中の「欲望」に気付くようになり、それに対して忠実になろうと行動するようになります。

登場人物

ホアキン・フェニックス演じる、アーサー・フレックが主人公です。彼は障害(感情が高ぶると笑ってしまう、他に妄想癖、また明示されていないが軽度の知的障害も)を抱えており周囲から孤立するも、コメディアンとして成功することを夢見、売れない大道芸人として生計を立てていました。

ある日、大企業のサラリーマン達に絡まれ暴行を受けることになります。最初は耐えていましたが、我慢しきれず所持していた銃で反撃し殺してしまいます。

事件はテレビで報道されます。市民の多くは加害者(アーサー)の行いを支持していました。貧富の差が拡大し貧困層が多いゴッサムシティでは、事件を「経済格差に抗議した末に起きた出来事」と捉えられていたからです。

それまで誰からも相手にされなかったアーサーは次第に自信をもつようになると同時に、彼の中の欲望・悪意について自覚するようになりました。そしてこの間も殺人に手を染めることになります。相手は仲の悪かった知人男性や母親(自分の障害の原因をつくった)です。

そんな時、自分が憧れていたテレビ番組で自分のパフォーマンスが取り上げられます。これがきっかけで、そのテレビ番組に出演することになりました。自分が目標としていた大物コメディアンとの共演が実現するのです。

しかし幸せな時間も長くは続きませんでした。アーサーが憧れていたコメディアンは、自分のことを笑い者にするためにテレビ出演させることに気付いたのです。

生放送のテレビ番組の出演する時間となりました。アーサーは事前の打ち合わせ内容を破り、自らが犯した殺人や溜め込んでいた世の中への不満を激白し、最後に目標としていたコメディアンを殺してしまいます。

その後、アーサーは精神病院に収容されました。カウンセラーと会話をしていた彼は「ジョークを思いついた。でもきっと理解できないさ。」と不気味に笑います。

病院内を血の足跡を残しながらアーサーが逃げ回る場面を最後に映画は終わります。

バットマンのスピンオフ作品のように思いますが、そういったテイストは薄く、本質は社会が抱える問題を扱った作品です。

・社会から孤立している人

・経済的に困窮している人

・病気や障害で悩んでいる人

・上記のような課題をどう克服すればよいか分からない人

普段なかなか気づきずらいことですが、こういった課題を抱えている人は確実に存在します。主人公アーサーはこれら課題全てを抱えている社会的弱者と捉えることができます。そんな社会的弱者が何をやろうとしても報われることもない、むしろ状況がどんどん悪化してゆく様子が淡々と描かれています。内容が非常に重く、鑑賞後に色々と考えさせられました。

主演のホアキン・フェニックスの怪演がとても印象に残りました。普段は体格のよい役者さんなのですが、役作りのため(弱々しい印象を与えるため)に体重を落としたことだけでなく、狂気に満ちた人物を圧倒的な演技力で演じており、圧倒されました。”         “考察「どこまでが本当にあったことか」

主人公アーサーは障害を抱えている設定になっており、そのなかで妄想癖があることが明らかになっています。劇中、観客に対して「今の出来事が彼の妄想であった」ことが明示されている場合が何度かありました。ひと通り鑑賞した後に振り返ると、実はもっと妄想の場面があったのでは?と疑問に感じてしまいました。

というのも、物語の展開は大局的に見れば理解できるものになってはいますが、展開が急すぎる・つじつまが合わない・発言の意図が汲み取れない、と感じるところがあるからです。

テレビ番組出演

物語終盤でアーサーが憧れていたテレビに出演することになります。普段の彼のパフォーマンスが取り上げられ、その内容が評判となったことがきっかけです。しかし内容自体は面白いものでもない、素人の芸に過ぎないものがなぜ都合よく取り上げられたのか?

アーサーが群衆の英雄になる

最初の事件を起こしたことで、群衆が彼をヒーローと扱うようになります。しかし治安が安定しない都市では事件は頻繁に起こるもので、都合よく彼が持ち上げられることに違和感があります。

物語の時間軸

冒頭、精神病院に入院していたことが回想シーンで明らかになりますが、なぜ入院したのか?なぜ退院できたのか?が明らかになっていません。そしてラストシーンに病院で再度入院していますが、冒頭の回想シーンと同じ服を着ています。物語を通して2度入院したのか、本編は過去の出来事を思い出した内容で入院したままなのか、など分からなくなります。

以上のことから、どこからどこまで実際に起きたことなのか、全てがアーサーの妄想なのでは?など色々な解釈ができてしまいます。

こんな人におすすめ

社会派の作品、人間の心理に触れる内容が好きな方にはお勧めの作品だと思います。特に本作は色々な解釈ができる内容なので、考察して登場人物の真意を探ることが好きな方にはぴったりだと思いました。

反対におすすめできない人はアクション映画が好きな方、特にこれまでのバットマンシリーズを鑑賞されて「派生作品」としての要素を期待されている方です。

本作自体、お話のつくりはしっかりしたものです。しかし、物語は淡々と進み、アクションシーンのような派手さはありません。バットマンの設定だけを借りて作られた別の映画です。これまでのバットマンシリーズにあった「らしさ」を期待すると肩透かしをくらうと思います。

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